ふしぎ工房症候群
《ひとりぼっちの誕生日 》
CAST:樱井孝宏
08. 面白い話
繁華街(はんかがい)のややこぎれいなビルの上の階にその店があった。どこにでもあるのようなクラブだ。僕がいつも接待で利用している店とさほど変わらない。それほど下世話(げせわ)な店じゃないし、高級感もある。店に入ると、女の子たちが出迎えてくれた。席に着くとウィスキーのボトルが出てきた。僕たちはすでに相当量のアルコールが入っていたが、勢いでまた飲み始め、女の子たちと騒いだ。一頻り(ひとしきり)飲んでいると、僕はだんだんと自分が不愉快な気分になっていることに気づいた。店の女の子は皆彼の周りに集まってはしゃいでいる。僕の隣にも一人いるけど、無口なのか、乗り気がしないのか、あまり口を開かない。僕が自分が一人ぼっちのような気がしてきて、無性に腹が立った。何だ、楽しんでいるのはあいつだけじゃないか。やっぱり人の馴染の店にいたって、面白くもなんともない。それに、もっとこちに気をつかてもいいんじゃないか。自分だけ楽しいけりゃいいなんて、本当に飽きれたやつだ。こんな奴と少しでも気が合うなんて考えた僕の馬鹿だった。
「もう出よう。」
僕がそういうと彼は
「まだいいじゃないか」
と言って、もう一盛り上がりする。こっちの気持ちに気づく気配がさえもない。終電が近いからと言って席を立とうとすると、さすがに彼も仕方がないと言ったふうに感情を始めた。もろん金持ちだが、領収書をきっている姿を見れば、別に心は痛まない。どうせ会社の経費だ。店を出てずんずん歩いていると彼が後ろから追いついてきて、言った
「どうした、ずいぶんご機嫌ななめだな。」
「そりゃそうだろう、自分だけ楽しんでりゃいいてもんじゃない。」
「はあ?何を言ってるんだ?こういうところに来て楽しまなければ済まないだろう。楽しめない奴が馬鹿なのさ。」
「なんだと?」
腹にすえかえてにじり寄ると、彼はせせら笑うように言った
「可笑しいなやつだなあ。お前だってしょっちゅうやってるんじゃないのか?友達もいないって言うから、 この俺様が付き合ってやってるんだぞ。感謝それこそする、文句なんて言われる筋合いはないだろう?」
「友たちがいないわけじゃない、作らないんだ!」
そう言い返すと彼は冷たい目で言った
「作らないじゃなくて、出来ないんだよ。お前の友たちになろうなんて愁傷なやつはこの世にいるのか?」
「き、貴様!」
こんなつは殴ったってかまわない、そう思って、拳を振り上がったやさきにハプニングが起きた。気づくと、彼の前に女性が立っている。泣きながら、彼に何かをうったいている。僕はやり場がなくなった拳を下ろすと、呆然とその光景を見詰めた。痴話げんかんのようだった。察するに別れ話を切り出された彼女が男にすがっているようだ。それにしても、彼女は必死な様子だった。よほど彼のことを好きなのだろう。『分かれたくない。』を連発している。暫くすると、揉み合いになった。
「おい、寄せ!」
僕は見かねて声をかけたが、その時にはもう彼女は突き飛ばされたあとだった。路上にうずくなっておえず彼女を尻目(しりめ)に彼は歩き出した。その後追いつけ、肩をつかんた。
「なんて乱暴なことをするんだ!」
彼は冷たい目をして、振り向きざまに言った
「代わりはいくらでもいるだろう。」
「この野郎!」
どうしても許せない。そんな感情がふっとあいて、衝動的に僕は彼に殴りかかっていた。しかし、僕の拳はあっさりとかわされ、勢いで地面に転がってしまった。その脇腹(わきばら)蹴りがはいて僕がのた打回った。彼のせせら笑いが聞こえる。
「へへ…、本当にどうしようもないやつだなあ、お前は。自分のやってることを棚に上げて、人を非難する立場にあると思っているのか。」
「う~」
呼吸ができない、僕は蹲っているのが精一杯だった。
「そうだ、お前にいいことを教えてやろう。お前が気づいていないだけの、取って置きの面白い話よな。」
「な、何を?」
「いいか、どんなにエリートずらとしてだって、所詮(しょせん)俺たちががちっぽけな存在なんだよ。出世、地位、金、名誉のために人を蹴落すことに必死になって、そんなくだらないことに意気を注している。他人を信用出来ないから友達が作れない。そのくせ小心ものだから、いつも人の目が気になる。ここから笑ったことがない、そんな俺たちが本当に出世して人の上に立てると思っているのか?」
「くそ!」
声が出ない、こいつはいったい何を言いたいんだ。
「俺の思うにな、傍から見ていてこんなに面白い人間はいない。お前もそう思わないか。くだらないことに必死になっている人間こそ自分が滑稽(こっけい)なことに気づかない。そんな俺たちの存在を一言で言ったら、何だと思う?」
返す言葉がない。幾分(いくぶん)呼吸ができるようになったが、こいつのいやつかに勝てる気がしない。
「ギャグなんだよ。」
「ギ、ギャグだと?」
「そうさ、周りの人は皆そう思ってる。陰で笑い、同情し、さげすみ哀れんている。それが気づかない俺たちの存在はギャグそのものじゃないか。こんなに面白い人間は他にいるか?どうだ、お前も面白いだろう?これが笑わずにいられることか?俺は可笑しくてたまらまいね。あ、はははは。」
「や、止めろ。」
「俺もお前もギャグなんだよ。」
「や、やめろう!~~~」
08. 滑稽的谈话
他说的那个小店在闹市街中一栋比较漂亮的大楼上层。是间很普通的俱乐部,跟我招待客人吃饭的店没什么两样。但不俗气,还挺高级。一进去女招待们就上来迎接我们,坐下后马上上来了威士忌。我们俩都已经喝了不少酒,但在这种招势之下又一边聊一边喝了起来,过了一会儿,我发觉自己慢慢变得有些不快。店里的小姐们都围着他热热闹闹地聊着。我旁边倒是也有一个,但她是不爱说话呢,还是对我不感兴趣呢,基本不开口。我感觉自己就像孤孤单单地一个人,非常地生气!什嘛阿!高兴的就只有他一个人嘛!来别人熟悉的店果然没意思。而且你就不能照顾一下我这边嘛!自己高兴就好,怎么会有这种人。刚才还觉得跟他和投缘,想起来都觉得自己傻。
“走了!”
听见我这么说,他说:
“还早麻”。说着酒劲儿又上来了。根本就不搭理我。
他看我说末班车快没了然后站起来就要走,这才摆出一幅不乐意的样子去结账。虽然他挺有钱,但看他要了发票我就一点也不愧疚了。反正是公司的钱。
出了店门,我就飞快地往前走,他从后面追上来说:
“怎么了?你闹什么别扭嘛。”
“谁闹别扭了,又不是一个人尽兴就好了!”
“啊?你说什么啊!来这种地方就要尽兴啊,不能玩地尽兴的人才傻呢!”
“什么!”
我忍无可忍,他一点点逼近的脸,他仿佛冷笑着说道:
“你可真有意思!你不也常来这种地方吗!你说没有朋友我才陪你的哦。你该心存感激才对,不该抱怨我吧。”
“不是没有朋友!是我不愿意交!”
我反驳道。然后他用冰冷的视线看着我说:
“不是不愿意交,是交不到!”这世上有倒霉到愿意去跟你交朋友的家伙吗?
“你!……”
这种人真是欠揍。就在我把拳头挥向他的时候,出乎意料的事情发生了,我仔细一看,一个女的站在她前面,边哭边对他诉说着什么。我不知所措放下了拳头。呆呆地看着他们,像是小两口吵架。他试探着提出分手,女友好象不想放手。而且看她很拼命的样子,可想而知有多喜欢他,不停地说着:我不想分手。
没过一会我见他们相互推挡起来。
“喂!躲开!”
我看不下去,喊了一声,但那时她已经被推倒在地了。
他撇了一眼蹿蹲在地上哽咽的女友人后转头离去。
我追上抓住了它的肩。
“你怎么那么不讲理啊!”
他仍用冰冷的眼神回头对我说:
“天下何处无芳草啊!”
“你!你这个混蛋!”
我不能允许这种行为,头脑一热,冲动的向他挥起了拳头,
但他轻松地闪开,顺势把我撂倒在地。我侧腹着地,疼得我在地上蹿成一团。接着我听到他冷笑着说:
“哈哈哈哈哈,你还真是没用啊,自己干的好事视而不见,有资格说别人吗!”
“呜、、、”
我无法呼吸,连蹲起来都很费力。
“对了,告诉你个有意思地事,你没察觉到的,非常有趣地事,这也就是你我才说的。”
“什,什么?”
“听好!不管理你多么的优秀,象我们这样的人太渺小了。为了成功、地位、钱、名誉拼命踩着别人的肩旁往上爬,被这种毫无意义地事牵着鼻子做人。虽说由于不能轻信他人所以交不到朋友。但还是心胸狭窄。总是在意别人的眼光。从来没有打心底笑过。你真的觉得这样的我们能成为人上人吗?
可恶,我发不出声音,这家伙到底想说什么?
“在我看来,从旁观者的角度看,没有比这样的人再可笑的了。你不觉得吗?拼命作些毫无意义地事的人才不会发觉自己有多滑稽。象我们这种人用一个词来形容,你猜是什么?”
我无言以对。虽然可以自由呼吸了,但还是无法反抗他。
“小丑”
“小、小丑”
“没错!周围的人都这么觉得。在暗处笑话、同情、轻视并可怜着你。注意不到这些的我们不正是小丑嘛。没有比我们更滑稽的人了。怎样?你也觉得可笑吧,不笑才怪呢。我可是觉得可笑得不得了。哈哈哈哈……”
“不,不要说了。”
“我和你都是小丑!”
“不要!不要再说了!”
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