ふしぎ工房症候群
《卒業》
CAST:绿川光
10- 「ふしぎ工房」
納棺、通夜、葬式と僕はずっと彼の側にい続けた。火葬場では彼とともに、僕の頭の中まで灰になる思いだった。四十九日が終わってもアパートには戻らず、実家でぼうと暮らした。外に出ることもせず、単に家にいるだけの生活の中で、僕はますます無気力になっていた。大学に行ってないことも就職が決まってないことも家族にばれた。父親に思い切り殴られ、一家の恥と罵られても、もう痛みも何も感じなかった。僕は引きこもるどころか、生きた化石のようになっていた。そんなある日、部屋を片付けていると押入れの奥から新聞紙に包んで大事に仕舞い込んでいた記念品が出てきた。高校の卒業式の日に彼と交換したプラスチック製の小さなバケツ。しばらく眺めていたら、その何も入っていないバケツがまるで自分の心と同じように思ってきた。バケツの中に物を入れてくれ るスッコプの持ち主はもう、いない。ふと公園のことを思い出した。幼い頃よく彼と遊び、そしてまた一緒に行こうと約束した公園。最後の約束だけは守りたい。その思いに駆られて僕は公園に行ってみることにした。公園は家から1キロほど離れた小学校の隣にある。僕はバケツを手に持って、とぼとぼと通いなれた道を 歩いていたが、小学校の手前まで来たところで、風変わりな店が目に入り、思わず足を止めた。「こんな店、あったかな。」見た目は民家のようにも思えるが、入口と思われる引き戸の横に看板がかかっていて、「不思議工房」と書かれてある。戸板に筆で 殴り書いたような文字でまるで道場の看板のようだった。工房とあるからには何か作って売っているのか。それにしても、不思議とは何だ。四年も経てば町が 変わっていてもおかしくはないが、この町に関しては以前と何も変わっていない。そう思っていたから尚更興味が湧いた。引き戸を開けると、足元に小さな黒猫がいてニャーと鳴いた。僕にはまるでいらっしゃいませと言っているように聞こえた。見渡すとがらんとした倉庫の中のようだった。本当に何か売っているのかと首を傾げていたら、ふいに声がした。「いらっしゃい。」声のするほうに顔を向けると、部屋の中央に大机があってそこに座っている人の姿が見えた。薄暗かったので初めは分からなかったが、目を凝らすと老人だった。
「あの、ここでは、何か売ってるんですか。」
怪しげな店だなとは思ったが、地元だという安心感も手伝って、思い切って尋ねてみることにした。すると老人はこう答えた。
「ここでは幸せを売っております。」
よく意味が分からない。幸せを売るとはどういうことだ。こうなったらとことん聞いてやれ。
「あの、どうやって買えばいいんでしょうか。」
「もうご注文は頂いております。」
「え?」
僕は何も注文した覚えはないぞという目付きで老人を見た。そもそもこの店に入ったのは今日が初めてだから。注文の仕様がない。そう訝しんでる僕にかまう様子もなく、老人は目の前に新聞紙に包まれた物を差し出した。
「これは?」
「半年前、あなたのお友達が来て注文されていきました。」
「友達?誰が何を注文したというんですか。」
僕は少々苛立っていた。あまりにわけのわからないことを言うこの老人に、僕の不快感をあらわにした。
「お友達はあなたを助けてくださいと。」
「そその友達って。」
言い様はないうちに、目の前の新聞紙を乱暴に剥ぎ取った。すると、中から古びた小さなスコップが出てきて僕は思わず声をあげた。「あ。」僕は そのスッコプを握り締め、そのまま床に崩れ落ちた。彼がここに来たのだ。そして、僕の幸せを注文したのだ。彼は知っていた。僕の苦しみを。あの電話で僕の苦悩を見抜いていたのだろう。そして、思い出の公園に一人で行った。スコップを持って、公園で僕の心の穴を埋めようとでも考えたのだろう。そうすることで癌をかけようとしたのだろう。その途中でその店を見付け、中に入って老人にスコップを託した。僕の幸せを願って。
「彼はお前さんを尋ねようとも考えた。だが、もうその体力すらなかった。だから、精一杯願うことしかできなかったんだよ。」
老人の言葉を聞いて、僕は咽び泣いた。彼だって相当つかれきっていた。もう自分が長くないことも知っていた。本来なら誰もが自分の幸せを願うはずだ。それでも、僕の幸せを願ってくれる。そんな人間にはもう絶対巡り合うことがない。何よりその彼はもうこの世にいない。この店がどんなにいかがわしい所だったとしても、何の効力もないいんちきだとしても、わらにもすがる思いでこの老人に思いを託したのだ。
「さあ、行きなさい。」
老人の声に涙と鼻水でグシャグシャになった顔を上げた。
「ど、どこへ?」
「お前さんが行こうとしていた所へ。」
老人はそう言って僕を外へと送りました。帰り際に請求者と書かれた封筒を渡された。僕にはそれは何だろうと考える余裕さえなかった。ふらふらしながら、あの公園へと向かった。手にスコップとバケツのセットを持って。
第十轨 不可思议工房
入棺。守夜。葬礼。
我一直都守在他身边。
我感觉自己的心仿佛同他一起在火葬场烧成了灰烬。
过了四十九日,我还是没有回公寓去,就在家里茫然地打发日子。
(注:人死后的四十九日,是今生的死与来世的生之间的时间。)
将自己关在家中,完全不出门,自己越来越虚弱无力了。
同时,家人也知道了我没有去大学,更没有定下工作。
爸爸气得揍了我一顿,骂我是一家之耻。但我已经感觉不到疼痛了。
我将自己禁锢于家中,几乎成了活动的化石一般。
就这样,某一天整理房间时,在抽屉里发现小心地包在报纸里的纪念品。
高中毕业仪式那天和他交换的塑料水桶。
盯着它看了一小会,骤然感觉自己的心,已经和那个空空的水桶一样。
往水桶里放入铲子的人已经不在了。
突然想起了那座公园。
小时候经常和他一起去玩耍,并且约定下次一起去游玩的公园。
我想履行这最后的约定。
在这一想法的驱使下,我去了公园。
公园位于离家一公里的小学旁边。
我手上提着水桶,咯噔咯噔地走在熟悉的路上。
来到小学校门口,突然看到一家有点奇怪的店子,我不由停下了脚步。
这儿有这么一家店么……?
看起来像是普通的住房,在像是入口一样的拉门旁边立有一块招牌。
上面写着“不可思议工房”。
门板上的字迹很是潦草,像是道场的招牌一般。
“工房”的话,是做些什么东西拿出来卖吗。
然而“不可思议”又是什么意思……
过了四年,发生什么变化也是情理之中的事。
然而家乡的小镇却完全没有改变。
这样想着,更觉得好奇了。
拉开门,脚边有着一只小黑猫,“喵”地叫了一声。
我感觉它好像在说:“欢迎光临”。
里面像是空荡荡的仓库。
我探过头去看看,是不是真有东西卖。
突然听到了一个声音:“欢迎光临。”
我把视线转向声音的出处。然后看到房间中央摆着一张大桌子,有人坐在那儿。
周围有点昏暗,一开始看得不是太清楚。仔细一看,那是一个老人。
“那个……这儿在卖什么东西吗?”
尽管感觉这家店有点可疑,但这儿毕竟是自己熟悉的家乡,没什么可害怕的。于是就直接问了一句。
然后老人回答说:“本店出售的是幸福。”
不清楚他的意思。出售幸福是指什么?
干脆问个明白吧。
“那个……我该如何买?”
“你已经订购了。”
咦?
我疑惑地望着老人,自己明明没有订购过什么啊。
何况今天才第一次来到这家店,怎么可能订购。
老人并没有在意我的惊愕,将裹在报纸中的东西递给了我。
“这个是……?”
“半年前,你朋友过来为你订购的。”
朋友……到底是谁为了我订购了什么东西?
我感觉有点不安。
这老人说的话太奇怪了,我也不由地表现了出自己的不快感。
“你的朋友说,要我来拯救你。”
“那,那个朋友难道……”
我还没说完就胡乱地扯掉了眼前的报纸。
然后,看到里面的一把小铲子,我不由叫出声来。
“啊——”
我紧握着那把铲子,无力地跪倒在地上。
他曾来过这儿……而且为我订购了幸福。
我的痛苦,他都明白……
他从那个电话中看穿了我的心思。
然后,一个人带着铲子来到了回忆的公园。
或许他是想在公园中填满我心中的空白。
想用这种方式来为我祈愿罢。
然后,在途中发现了这家店铺,走进里边,将铲子交给了老人。
祈愿着我的幸福……
“他曾想过去找你。但那时他已经没有那个体力了。
所以他只能为你祈祷。”
听完老人的话,我痛哭起来。
他已经是筋疲力尽了。
也清楚自己剩下的时间不多了。
本来在这种时候,谁都会祈祷自己的幸福。
然而他却祈祷着我的幸福。
从今以后,不可能再碰到像他这样的人了……
更重要的是,他已经不在这个世上了。
想必他当时已经顾不上去想这家店如何可疑,如何阴郁了。就算是陷阱也心甘情愿地陷下去将一切交给了这个老人。
“好了,你走吧。”老人说。
我抬起头,脸上眼泪与鼻涕交织在一起。
“……去哪?”
“你想要去的地方。”
老人说完,将我送出了门外。并将一个写有“付款单”的信封交给我。
我已经没有心思去猜这是什么了,恍恍惚惚地朝公园走去。
手中紧握着铲子和水桶。
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